【解説】「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?

 

 

獣医師・サイエンスコミュニケーター 高畑菜穂子

日本獣医生命科学大学名誉教授 鈴木勝士

編集担当 紀平真理子

 

(全文はこちら

 

ラウンドアップの主成分であるグリホサートが危険だと主張する科学者

 

除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は、世界の規制機関によってその安全性が証明されていますが、一部の研究者がその毒性を主張しています。なかでも米国のセネフ博士はサムセル博士と連名で5つの論文を発表し、特に過激な主張を展開しています。それは、グリホサートががん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症骨粗しょう症不妊、先天異常など多くの病気の原因だという意見です。

 

メスネイジ博士とアントニオ博士による反論

これらの主張に対して、英国のメスネイジ博士とアントニオ博士は論文を発表し 、以下のように反論しています。

グリホサート large;"> 

グリホサートを含む除草剤(ラウンドアップなどの製品)の安全性について、さまざまな議論がされている。科学に基づいた研究、調査を行なっている世界の規制当局と、グリホサートを含む除草剤を販売している企業は、「規制で許容された基準値以下の量であれば、グリホサートは安全」だと結論を出している。一方で一部の科学者は、「規制で許容された基準値以下の量であっても、リスクがあるのではないか」と懸念している。

 

特にセネフ博士とサムセル博士が一連の論文で、グリホサートに長期間暴露すると、がん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症骨粗しょう症不妊、先天異常など多くの慢性疾患を引き起こすと主張している。しかしその主張の根拠は、誰もが正しいと思える事実を起点として、妥当な結論を導き出す「演繹的な三段論法」を不適切に適用して導いたものであり、科学的事実に基づくものではない。つまりこれらの主張は、裏付けのない理論と推測あるいは単なる間違いに過ぎない。

 

セネフ博士とサムセル博士の議論は、グリホサートの毒性について間違った情報を伝え、市民、科学界、規制当局をミスリードするものである。

 

解説『「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?』では、グリホサートを危険だと主張するセネフ博士とサムセル博士の主張の「どこが」「どのように」間違っているのかについて反論の論文を書いたメスネイジ博士とアントニオ博士の主張を、著者が解説や説明を加えてわかりやくすく紹介します。

https://ameblo.jp/12129090/entry-12632756202.html large;"> 

https://agrifact.dga.jp/faq_detail.html?id=153&category=2&page=1 large;"> 

グリホサートの安全性について科学界にある論争

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グリホサートが植物を枯らす仕組み

グリホサートは雑草も農作物も区別なく枯らすのですが、最初にその仕組みを説明します。ラウンドアップの主成分であるグリホサート(N-ホスホノメチル-グリシン)は小さな分子で、これを農場などに散布すると植物の中に入ります。植物にはシキミ酸回路という仕組みがあり、その中で、5-エノールピルビルシキミ酸3-リン酸シンターゼという酵素が働いて、植物が生きるために必要なアミノ酸を合成します。グリホサートはこの酵素の働きを止めてしまいます。すると植物は、アミノ酸を作ることができず枯れてしまいます。この働きを活用して、グリホサートは雑草を枯らす除草剤として使われています。

https://agrifact.dga.jp/faq_detail.html?id=120&category=2&page=1 large;"> 

世界中で1970年代から使用されているグリホサート

グリホサートは、1974年に一般発売されて以降、世界で最も多く使われる農薬になりました。さらに1996年に、遺伝子組換え技術によりグリホサートに耐性があるラウンドアップレディ作物(トウモロコシ、大豆、ナタネ、ワタ、砂糖大根、アルファルファ)が開発されました。農場にラウンドアップを散布すると、雑草は枯れてしまいますが、ラウンドアップレディ作物は生き残ります。こうして農作業の大きな部分を占める除草作業が簡単になり、グリホサートを含む除草剤の販売と使用は急激に増加しました。

 

人の尿から検出されるグリホサート

人の尿からグリホサートが検出されたとの情報を目にして、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。人の尿からグリホサートが検出される理由と、この事実をどのように捉えれば良いかについて説明します。

 

農場などに散布されたグリホサートは、急速に分解します。作物や水、空気中など環境中にはグリホサートは存在しますが、その量は極めて微量です。しかし存在はしているため、人の尿を検査すると通常1~10μg/ℓ(1μg=0.001mg)のグリホサートが検出されます。この量は危険なのでしょうか?

 

https://www.washingtonpost.com/newssearch/?query=agriculture large;">グリホサートに関する多くの研究の中に、ラットにグリホサートを体重1kgあたり1日に60mg (60mg/kg体重/日)を2年間投与すると、肝機能に障害があらわれ、それ以下では障害は出ないという結果があります。人の尿に存在するグリホサートの量(通常1~10μg/ ℓ、つまり0.001〜0.01mg/ℓ)は、ラットに与えられた量(体重1kgあたり1日に60mg)よはるかに少ないことは明らかです。この研究から、2002年にEUはグリホサートの一日摂取許容量(ADI)を、その200分の1の体重1kgあたり1日に0.3mg(0.3mg/kg体重/日)に設定しました。その後2015年に、EUは新しい研究結果が得られたためADIを100分の1の体重1kgあたり1日に0.5mg( 0.5 mg/kg体重/日)に変更しました。ちなみにこの100分の1という安全係数は、日本の食品安全委員会をはじめ、国際機関であるJMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)、EFSA(欧州食品安全機関)、USEPA(米国環境保護庁)も採用しています。

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【解説】「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?

 

 

獣医師・サイエンスコミュニケーター &#39640;&#30033;&#33756;&#31298;&#23376;

日本獣医生命科学大学名誉教授 &#37428;&#26408;&#21213;&#22763;

https://www.amazon.co.jp style="font-size: large;">編集担当 &#32000;&#24179;&#30495;&#29702;&#23376;

 

(全文はこちら

 

ラウンドアップの主成分であるグリホサートが危険だと主張する科学者

 

acis.famic.go.jp/syouroku/glyphosate/index.htm style="font-size: large;">除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は、世界の規制機関によってその安全性が証明されていますが、一部の研究者がその毒性を主張しています。なかでも米国のセネフ博士はサムセル博士と連名で5つの論文を発表し、特に過激な主張を展開しています。それは、グリホサートががん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症骨粗しょう症不妊、先天異常など多くの病気の原因だという意見です。

グリホサート剤 large;"> 

メスネイジ博士とアントニオ博士による反論

これらの主張に対して、英国のメスネイジ博士とアントニオ博士は論文を発表し 、以下のように反論しています。

 

グリホサートを含む除草剤(ラウンドアップなどの製品)の安全性について、さまざまな議論がされている。科学に基づいた研究、調査を行なっている世界の規制当局と、グリホサートを含む除草剤を販売している企業は、「規制で許容された基準値以下の量であれば、グリホサートは安全」だと結論を出している。一方で一部の科学者は、「規制で許容された基準値以下の量であっても、リスクがあるのではないか」と懸念している。

 

特にセネフ博士とサムセル博士が一連の論文で、グリホサートに長期間暴露すると、がん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症骨粗しょう症不妊、先天異常など多くの慢性疾患を引き起こすと主張している。しかしその主張の根拠は、誰もが正しいと思える事実を起点として、妥当な結論を導き出す「演繹的な三段論法」を不適切に適用して導いたものであり、科学的事実に基づくものではない。つまりこれらの主張は、裏付けのない理論と推測あるいは単なる間違いに過ぎない。

 

https://www.washingtonpost.com/newssearch/?query=agriculture large;">セネフ博士とサムセル博士の議論は、グリホサートの毒性について間違った情報を伝え、市民、科学界、規制当局をミスリードするものである。

 

解説『「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?』では、グリホサートを危険だと主張するセネフ博士とサムセル博士の主張の「どこが」「どのように」間違っているのかについて反論の論文を書いたメスネイジ博士とアントニオ博士の主張を、著者が解説や説明を加えてわかりやくすく紹介します。

 

 

グリホサートの安全性について科学界にある論争

 

グリホサートが植物を枯らす仕組み

グリホサートは雑草も農作物も区別なく枯らすのですが、最初にその仕組みを説明します。ラウンドアップの主成分であるグリホサート(N-ホスホノメチル-グリシン)は小さな分子で、これを農場などに散布すると植物の中に入ります。植物にはシキミ酸回路という仕組みがあり、その中で、5-エノールピルビルシキミ酸3-リン酸シンターゼという酵素が働いて、植物が生きるために必要なアミノ酸を合成します。グリホサートはこの酵素の働きを止めてしまいます。すると植物は、アミノ酸を作ることができず枯れてしまいます。この働きを活用して、グリホサートは雑草を枯らす除草剤として使われています。

 

世界中で1970年代から使用されているグリホサート

グリホサートは、1974年に一般発売されて以降、世界で最も多く使われる農薬になりました。さらに1996年に、遺伝子組換え技術によりグリホサートに耐性があるラウンドアップレディ作物(トウモロコシ、大豆、ナタネ、ワタ、砂糖大根、アルファルファ)が開発されました。農場にラウンドアップを散布すると、雑草は枯れてしまいますが、ラウンドアップレディ作物は生き残ります。こうして農作業の大きな部分を占める除草作業が簡単になり、グリホサートを含む除草剤の販売と使用は急激に増加しました。

 

人の尿から検出されるグリホサート

人の尿からグリホサートが検出されたとの情報を目にして、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。人の尿からグリホサートが検出される理由と、この事実をどのように捉えれば良いかについて説明します。

グリホサート eu style="font-size: large;"> 

https://www.amazon.co.jp/プランティーションイワモト-葉から吸収・根まで枯らす除草剤【グリホサート】-非農耕地用/dp/B003FLADPS style="font-size: large;">農場などに散布されたグリホサートは、急速に分解します。作物や水、空気中など環境中にはグリホサートは存在しますが、その量は極めて微量です。しかし存在はしているため、人の尿を検査すると通常1~10μg/ℓ(1μg=0.001mg)のグリホサートが検出されます。この量は危険なのでしょうか?

 

グリホサートに関する多くの研究の中に、ラットにグリホサートを体重1kgあたり1日に60mg (60mg/kg体重/日)を2年間投与すると、肝機能に障害があらわれ、それ以下では障害は出ないという結果があります。人の尿に存在するグリホサートの量(通常1~10μg/ ℓ、つまり0.001〜0.01mg/ℓ)は、ラットに与えられた量(体重1kgあたり1日に60mg)よはるかに少ないことは明らかです。この研究から、2002年にEUはグリホサートの一日摂取許容量(ADI)を、その200分の1の体重1kgあたり1日に0.3mg(0.3mg/kg体重/日)に設定しました。その後2015年に、EUは新しい研究結果が得られたためADIを100分の1の体重1kgあたり1日に0.5mg( 0.5 mg/kg体重/日)に変更しました。ちなみにこの100分の1という安全係数は、日本の食品安全委員会をはじめ、国際機関であるJMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)、EFSA(欧州食品安全機関)、USEPA(米国環境保護庁)も採用しています。

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ラウンドアップの安全性

 

 

回答者:公益財団法人食の安全・安心財団理事長、東京大学名誉教授 唐木英明

回答日:2019年10月26日

更新日:2020年4月10日

注:商品名『ラウンドアップ』の有効成分名は「グリホサート」と言い、Q&Aでは2つの名称をその都度使い分けていますが、実質的には同じものだとご理解ください。

Q &#12521;&#12454;&#12531;&#12489;&#12450;&#12483;&#12503;&#12399;&#12394;&#12380;&#23433;&#20840;&#12392;&#35328;&#12360;&#12427;&#12398;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A 化学物質の安全性を検証する世界共通の方法は「毒性学」で、日本の食品安全員会、米国環境保護庁(EPA)、欧州食品安全機関(EFSA)、世界食料機関(FAO)、世界保健機関(WHO)をはじめ、世界の各国の規制機関(※)が採用しています。

毒性学による検証手法はリスク分析法や規制科学とも呼ばれ、細胞レベルから実験動物レベルまで多くの試験を行って人体への安全を確認する方法です。とくに発がん性試験は厳しく行われています。

これらの試験で得られた安全な量に、さらに安全係数をかけて、人での安全な量を計算します。

世界の規制機関は、この毒性学的手法により人体への安全が確認された化学物質しか農薬や食品添加物としての使用を認めていません。

ラウンドアップの安全性は毒性学的手法により確認され、その使用は世界の規制機関から認められています。

(※)ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、カナダ保健省病害虫管理規制局(PMRA)、オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)、ニュージーランド環境保護局(NZ EPA)など

Qグリホサート epa x-large;"> &#19990;&#30028;&#12398;&#35215;&#21046;&#27231;&#38306;&#12364;&#12521;&#12454;&#12531;&#12489;&#12450;&#12483;&#12503;&#12398;&#23433;&#20840;&#12434;&#30906;&#35469;&#12375;&#12383;&#12395;&#12418;&#12363;&#12363;&#12431;&#12425;&#12378;&#12289;&#27602;&#24615;&#23398;&#30340;&#25163;&#27861;&#12434;&#20351;&#12387;&#12383;&#23398;&#32773;&#12398;&#35542;&#25991;&#12398;&#12394;&#12363;&#12395;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12392;&#12398;&#38306;&#36899;&#12354;&#12426;&#12392;&#12377;&#12427;&#35542;&#25991;&#12364;&#12354;&#12427;&#12398;&#12399;&#12394;&#12380;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A たしかにラウンドアップの毒性を調べた数多くの論文のなかには、発がん性と関連があるとする論文があります。

論文が正しいかどうかは「方法の適切さ」と「結果の再現性」の検証で決まります。方法の適切さは、科学の常識に従った方法を使っているのかで評価されます。

再現性とは、第三者がその研究で使用された材料・方法などを用いて同じ実験を繰り返し行った場合に、元の研究者が行ったときと同様の結果が出るのかを検討するもので、同じ結果が出て初めて「再現性がある=正しい」と判断されます。さらに、全く別の実験方法を使って、元の論文と同じ結論が得られるのかも重要な検証方法です。

世界の規制機関はこのような観点ですべての論文を十分に検討した結果、発がん性と関連があるとする論文は、方法論と再現性の点で問題があるとされ、ラウンドアップと発がん性に関連はないという結論を出しています。

 

Q &#30123;&#23398;&#35519;&#26619;&#12391;&#12399;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12392;&#38306;&#36899;&#12364;&#12354;&#12427;&#12392;&#12356;&#12358;&#35542;&#25991;&#12364;&#20986;&#12390;&#12356;&#12427;&#12398;&#12399;&#12393;&#12358;&#12375;&#12390;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A 疫学調査の検証手法は、人の生活習慣と病気の関係を調査する方法です。ところが、人の生活習慣は実に多種多様であるため、一つの要因を病気の原因として確定することはとても難しいという疫学調査ならではの制約があります。

この制約は「相関関係と因果関係」の問題として知られ、例えば疫学調査で「薄毛の人の多くは養毛剤を使っていた。だから薄毛の原因は養毛剤である」といった間違った結論を導き出す可能性があるのです。

疫学調査ラウンドアップと発がん性の関連を示唆する論文は存在しますが、方法論に疑問点があったり、別の実験方法によりその結論が裏付けられなかったなどの問題があります。

では、疫学調査の結果が正しいかどうかはどうやって検証するのでしょうか。

それにはやはり毒性学的手法を用います。毒性学的手法によって検証し、「発がん性と関連がある」という疫学調査の結果が裏付けられて初めて結論が確定します。

グリホサート style="font-size: large;">疫学調査は食品の安全を確認する方法としてはあくまで参考資料であり、世界の規制機関も疫学調査だけで安全性を確定することはしていないのです。

Q &#22269;&#38555;&#12364;&#12435;&#30740;&#31350;&#27231;&#38306;&#65288;IARC&#65289;&#12364;&ldquo;&#12362;&#12381;&#12425;&#12367;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12364;&#12354;&#12427;&rdquo;&#12464;&#12523;&#12540;&#12503;2A&#12395;&#20998;&#39006;&#12375;&#12390;&#12356;&#12414;&#12377;&#12290;&#12420;&#12399;&#12426;&#23433;&#20840;&#12392;&#12399;&#35328;&#12360;&#12394;&#12356;&#12398;&#12391;&#12399;&#12394;&#12356;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A https://www.jacom.or.jp large;">誤解している人が多いのですが、IARCの分類は「科学的根拠の強さ」、わかりやすく言うと「発がん性が疑われると結論付けた論文がある」と言っているだけです。

そうした論文の数が一番多いものがグループ1、その次に多いものをグループ2に分類しているということです。決して実際の発がんリスクの高さ(発がん性の強さの証明)を分類したものではありません。

https://cbijapan.com/gmo/question/epa(米国環境保護庁)は、グリホサートの残留許/ style="font-size: large;">私たちが普段から口にする加工肉や赤身肉、あるいは理容業などと発がん性を結び付けている分類の中身を見れば、実際にそれでがん患者が出ているということではないことがよくわかると思います。

monsantoglobal.com/global/jp/sitecollectiondocuments/glyphosate-safety-health-jpn.pdf style="font-size: large;">また、分類に使用した論文の中には方法論や再現性の点で疑問があるものが含まれているという批判もあります。ラウンドアップについては「発がん性はない」として多くの批判が出され、加工肉と赤身肉についても「発がん性は認められない」という論文が出されました。

要は「そういう論文があるから気をつけましょう」という程度の予防措置だと理解してください。

 

参考 国際がん研究機関(IARC)の分類表(一部)

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ラウンドアップの安全性について:よくあるご質問(FAQ)

 

 

回答者:公益財団法人食の安全・安心財団理事長、東京大学名誉教授 唐木英明

回答日:2019年10月26日

更新日:2020年4月10日

注:商品名『ラウンドアップ』の有効成分名は「グリホサート」と言い、Q&Aでは2つの名称をその都度使い分けていますが、実質的には同じものだとご理解ください。

Q &#12521;&#12454;&#12531;&#12489;&#12450;&#12483;&#12503;&#12399;&#12394;&#12380;&#23433;&#20840;&#12392;&#35328;&#12360;&#12427;&#12398;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A 化学物質の安全性を検証する世界共通の方法は「毒性学」で、日本の食品安全員会、米国環境保護庁(EPA)、欧州食品安全機関(EFSA)、世界食料機関(FAO)、世界保健機関(WHO)をはじめ、世界の各国の規制機関(※)が採用しています。

毒性学による検証手法はリスク分析法や規制科学とも呼ばれ、細胞レベルから実験動物レベルまで多くの試験を行って人体への安全を確認する方法です。とくに発がん性試験は厳しく行われています。

これらの試験で得られた安全な量に、さらに安全係数をかけて、人での安全な量を計算します。

世界の規制機関は、この毒性学的手法により人体への安全が確認された化学物質しか農薬や食品添加物としての使用を認めていません。

https://agrifact.dga.jp large;">ラウンドアップの安全性は毒性学的手法により確認され、その使用は世界の規制機関から認められています。

(※)ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、カナダ保健省病害虫管理規制局(PMRA)、オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)、ニュージーランド環境保護局(NZ EPA)など

Q &#19990;&#30028;&#12398;&#35215;&#21046;&#27231;&#38306;&#12364;&#12521;&#12454;&#12531;&#12489;&#12450;&#12483;&#12503;&#12398;&#23433;&#20840;&#12434;&#30906;&#35469;&#12375;&#12383;&#12395;&#12418;&#12363;&#12363;&#12431;&#12425;&#12378;&#12289;&#27602;&#24615;&#23398;&#30340;&#25163;&#27861;&#12434;&#20351;&#12387;&#12383;&#23398;&#32773;&#12398;&#35542;&#25991;&#12398;&#12394;&#12363;&#12395;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12392;&#12398;&#38306;&#36899;&#12354;&#12426;&#12392;&#12377;&#12427;&#35542;&#25991;&#12364;&#12354;&#12427;&#12398;&#12399;&#12394;&#12380;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A たしかにラウンドアップの毒性を調べた数多くの論文のなかには、発がん性と関連があるとする論文があります。

http://pssj2.jp/2006/gakkaisi/tec_info/glyphosa.pdf style="font-size: https://www.env.go.jp large;">論文が正しいかどうかは「方法の適切さ」と「結果の再現性」の検証で決まります。方法の適切さは、科学の常識に従った方法を使っているのかで評価されます。

再現性とは、第三者がその研究で使用された材料・方法などを用いて同じ実験を繰り返し行った場合に、元の研究者が行ったときと同様の結果が出るのかを検討するもので、同じ結果が出て初めて「再現性がある=正しい」と判断されます。さらに、全く別の実験方法を使って、元の論文と同じ結論が得られるのかも重要な検証方法です。

世界の規制機関はこのような観点ですべての論文を十分に検討した結果、発がん性と関連があるとする論文は、方法論と再現性の点で問題があるとされ、ラウンドアップと発がん性に関連はないという結論を出しています。

 

Q &#30123;&#23398;&#35519;&#26619;&#12391;&#12399;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12392;&#38306;&#36899;&#12364;&#12354;&#12427;&#12392;&#12356;&#12358;&#35542;&#25991;&#12364;&#20986;&#12390;&#12356;&#12427;&#12398;&#12399;&#12393;&#12358;&#12375;&#12390;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

https://www.amazon.co.jp/プランティーションイワモト-葉から吸収・根まで枯らす除草剤【グリホサート】-非農耕地用/dp/B003FLADPS style="color: #dd0000;">A グリホサート large;">疫学調査の検証手法は、人の生活習慣と病気の関係を調査する方法です。ところが、人の生活習慣は実に多種多様であるため、一つの要因を病気の原因として確定することはとても難しいという疫学調査ならではの制約があります。

この制約は「相関関係と因果関係」の問題として知られ、例えば疫学調査で「薄毛の人の多くは養毛剤を使っていた。だから薄毛の原因は養毛剤である」といった間違った結論を導き出す可能性があるのです。

疫学調査ラウンドアップと発がん性の関連を示唆する論文は存在しますが、方法論に疑問点があったり、別の実験方法によりその結論が裏付けられなかったなどの問題があります。

では、疫学調査の結果が正しいかどうかはどうやって検証するのでしょうか。

それにはやはり毒性学的手法を用います。毒性学的手法によって検証し、「発がん性と関連がある」という疫学調査の結果が裏付けられて初めて結論が確定します。

疫学調査は食品の安全を確認する方法としてはあくまで参考資料であり、世界の規制機関も疫学調査だけで安全性を確定することはしていないのです。

Q &#22269;&#38555;&#12364;&#12435;&#30740;&#31350;&#27231;&#38306;&#65288;IARC&#65289;&#12364;&ldquo;&#12362;&#12381;&#12425;&#12367;&#30330;&#12364;&#12435;&#24615;&#12364;&#12354;&#12427;&rdquo;&#12464;&#12523;&#12540;&#12503;2A&#12395;&#20998;&#39006;&#12375;&#12390;&#12356;&#12414;&#12377;&#12290;&#12420;&#12399;&#12426;&#23433;&#20840;&#12392;&#12399;&#35328;&#12360;&#12394;&#12356;&#12398;&#12391;&#12399;&#12394;&#12356;&#12391;&#12377;&#12363;&#65311;

A 誤解している人が多いのですが、IARCの分類は「科学的根拠の強さ」、わかりやすく言うと「発がん性が疑われると結論付けた論文がある」と言っているだけです。

そうした論文の数が一番多いものがグループ1、その次に多いものをグループ2に分類しているということです。決して実際の発がんリスクの高さ(発がん性の強さの証明)を分類したものではありません。

私たちが普段から口にする加工肉や赤身肉、あるいは理容業などと発がん性を結び付けている分類の中身を見れば、実際にそれでがん患者が出ているということではないことがよくわかると思います。

また、分類に使用した論文の中には方法論や再現性の点で疑問があるものが含まれているという批判もあります。ラウンドアップについては「発がん性はない」として多くの批判が出され、加工肉と赤身肉についても「発がん性は認められない」という論文が出されました。

要は「そういう論文があるから気をつけましょう」という程度の予防措置だと理解してください。

 

参考 国際がん研究機関(IARC)の分類表(一部)

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